Designer's Corner

完璧なコーヒーテーブルの選び方

空間と調和して周囲の家具を引き立てるものを選ぶのがポイント

by Jennifer Tzeses 20191125

「ザ・ブルックリン・ホーム・カンパニー」のデザイナー、ホリー・ウォーターフィールド氏は、不規則な形の切り株を利用したコーヒーテーブルを選んで、ナチュラルな要素を室内に採り入れた。 PHOTO: TRAVIS MARK

「マンション・グローバル」では定期的に、世界各国で高級不動産物件を手掛けるトップデザイナーを招いて1つのトピックを深掘りしていく。今週は完璧なコーヒーテーブルの選び方を紹介。

コーヒーテーブルは、フォルムと機能を兼ね備え、またスタイルと用途に合わせて使えるオールラウンドな家具だ。選択肢は無限にあるが、見た目や雰囲気だけでなく、生活動線など使い勝手の良さにも注目する必要がある。今回はデザインのプロたちが購入時に気をつけるべきポイントを解説する。

部屋全体との関係性を考える

家具の専門メーカー「ポリフォームUSA」のCEOを務めるローラ・アンザニ氏は、インテリア全体との調和の重要性を説く。

「部屋にぴったりのコーヒーテーブルを選ぶポイントは、サイズ、すでに部屋にあるものとの間隔やバランスなど、空間とテーブルのベストな割合を見極めることに尽きるでしょう。一般的に、コーヒーテーブルの大きさはソファーの長さの3分の2程度が最適です」

「天板の形は機能とスタイリングの双方を考慮して決定するべきです。基本的には、部屋のレイアウトと、動線を確保するには周囲にどれくらいのスペースが必要かによってベストな形が決まります。コーヒーテーブルのフォルムは、部屋のスタイルを決める要素になります。例えば当社の『スーリ(Soori)』のように、どっしりした丸みのあるデザインなら広い空間でも安定感を出すことができますし、個性的な形で脚が長めのものであれば軽やかな印象を演出することができます」

「くつろぎと目に美しいバランスを両立するには、ソファーのクッションと椅子の座面をコーヒーテーブルの高さを応じてそろえてください。テーブルを数インチ低くするのも良いかもしれません」

ポリフォーム社製の様々な形と素材のテーブルがリビングルームに面白味を与えている。 PHOTO: COURTESY OF POLIFORM

バランスを作り出す

米ニューヨーク市とロサンゼルス市に拠点を置く「ニコール・フラー・インテリアズ」のニコール・フラー氏は、キーワードは「バランス」だと語る。

「まずは形で遊んでみるのもお薦めです。丸みや曲線美を持つソファーが2つある場合は、円形か楕円形のコーヒーテーブルが一番しっくりきます。キーワードはバランスです。四角い形が多い部屋なら、あえて円か楕円形のコーヒーテーブルをミックスするのも良いし、その逆もまたしかりです。決まったルールはないので、コーヒーテーブルで冒険して個性を表現することができると思います」

「コーヒーテーブルの高さは、ソファーと同じか少し低いくらいが良いでしょう。座面クッションより高いものは好ましくありません」

「ニュートラルな色彩が基調の部屋なら、コーヒーテーブルを差し色にすることで、空間にアートを飾るのと同じ効果を出すことができます。天板に鏡を使ったものなら、フォーマルでありながらセクシーなリビングルームができあがります」

「どんなインテリアでも、素材感は非常に重要なレイヤーになります。美しい白ペイント仕上げの木や石の天板のコーヒーテーブルは、空間のイメージを一段上に引き上げてくれます」

「ニコール・フラー・インテリアズ」のニコール・フラー氏は、リビングルームのモダンな雰囲気を引き立てるために丸いガラスのテーブルを使った。 PHOTO: PATRICK CLINE

空間全体を考慮する

米ニューヨーク市ブルックリンを拠点とする物件の開発デザイン会社「ザ・ブルックリン・ホーム・カンパニー」のデザイナー、ホリー・ウォーターフィールド氏は、異なる要素を組み合わせることでインテリアに個性を出すことができると話す。

「家具の直線に、天然木ならではの有機的なフォルムを持つ切り株でできたコーヒーテーブルを組み合わせて、相反する要素を調和するのも得意の手法です。自然の不規則な形が家具や部屋の中の直線と美しいコントラストを描き、ナチュラルな要素を室内にプラスしてくれます」

「部屋の中にあるほかの家具とバランスを取るには、長方形ばかりの部屋なら円や楕円を足すと良いでしょう。子供がいるなら、角のない丸い形のものが安心です。1種類に偏らないようにするのがバランスを取るコツです。異なる要素をミックスすることで、個性やコーディネートのセンスの良さを感じさせることができます」

「当社では、自然界にある素材を強くお薦めしています。どんなスタイルの部屋でも、柔らかな布張りの家具には木や石、大理石が良く合います」

人の動きを考える

ロンドンに拠点を置く「ブレディ・ウィリアムズ・スタジオ」の共同創設者、エミリー・ウィリアムズ氏は、サイズ感の重要性を説く。

「コーヒーテーブルはサイズ感がとても重要です。個人的には、両極端なサイズ感を選ぶと良いと思います。例えば、大きなコーヒーテーブルを選んで、その周りに人が集まるような部屋にするか、小さくて線の細いコーヒーテーブルを2つ3つ配置して部屋の中心を作るのもよいでしょう。いずれにせよ、コーヒーテーブルの幅は必ずソファーよりも短くしてください」

「形は個人の好みによりますが、完全に左右対称な部屋でない場合は、目を欺くような円形や楕円形のものが良いでしょう。これらは曲線のソファーや美しい形のアームチェアともよく合います。テーブルを囲んでお酒を飲むなど、ソーシャルなシーンでは長方形や正方形が一番使いやすく、また装飾を置きやすいのもこの形です。そうでなければ、彫刻的なテーブルを部屋のフォーカルポイントにするのも一つの手です」

「コーヒーテーブルは部屋に占める割合が大きいものなので、私はニュートラルな色調か暗めの色や素材をよく選びます。レジンや漆喰など珍しい仕上げのもので遊ぶのも面白いと思います。カジュアルで居心地の良い雰囲気を演出したいなら、クラシカルなオットマンにトレイを置いてみてはいかがでしょうか」

リビングルームに落ち着きを与えている丸いコーヒーテーブルは、「ブレディ・ウィリアムズ・スタジオ」の共同創設者、エミリー・ウィリアムズ氏がデザインしたもの。 PHOTO: COURTESY OF BRADYWILLIAMS

クリエイティビティを発揮する

ロンドンを拠点とするデザイン会社「リグビー&リグビー」代表兼住宅部門長を務めるイアン・ジョンソン氏は、柔らかな触感や丸みを帯びた角、有機的な形が最新のトレンドだと話す。

「最もフレキシブルなのはレイヤーを重ねた配置です。周りの家具を引き立てるために、あるいはお部屋のフォーカルポイントとして使うとしても、空間の寸法・形や家具の配置をよく考えた上で、ニュートラルな雰囲気の空間全体に配慮しながら家具を置いていくと良いでしょう。最近当社では、白地に金の模様が入ったカルカッタ・オーロの大理石のベースにブロンズのメッシュを重ねた、オーダーメイドの収納つきコーヒーテーブルを制作しました。オーバーヘッド照明でメッシュを目立たせて、会話や興味のきっかけを作り出しています」

「色を選ぶ時は、他の要素を引き立てる、またはコントラストを生むことを念頭に置くと良いでしょう。どうすれば良いか分からない時は、動きのあるインレイ(象眼細工)の入ったものや布張りのものを採り入れると、シンプルかつ効果的に季節感を出すことができます」

「実用性と耐久性も重要です。柔らかな触感、丸みを帯びた角、有機的な形が最新のトレンドです。ロンドンにある弊社のインテリアデザインスタジオでは現在、デザインの一部にレザー、カスタムメイドの滑らかなラッカー塗装やレジン、液体金属、カナレット・ウォールナット材を使っています」

スケールを考慮する

マンハッタンに拠点を置くインテリア・建築・デザインの総合会社、K&COの創始者、クリスター・ニニヴァッギ氏は、ソファーのタイプからテーブルを選ぶのがコツだと話す。

「ソファーとコーヒーテーブルを組み合わせる時は、ぴったりフィットするものか、どことなく似たような雰囲気のものを選ぶと良いでしょう。経験則で言えば、まずソファーの高さからスタートして、コーヒーテーブルの高さをそこから1インチ(約3センチ)前後以内に収めるとうまくまとまります。コーヒーテーブルとソファーが近ければ近いほど、テーブルは高いものが合うでしょう。ソファーの他にも幾つかチェアが置いてあるようなリビングルームであれば、広々とした印象を確保しつつ、どこに座っていても使えるような、低めのコーヒーテーブルを探してみてください」

「当社ではまずソファーのつくりを観察します。しっかりしたベースがあるタイプなら、視線が通り抜けるように脚があるコーヒーテーブルを。また脚があるタイプの小さ目のソファーで、天板の下に空間がある場合には、どっしりしたコーヒーテーブルを選びます。全体として見たときに、ソファーとテーブルが真逆の役割を担っているのが理想的です」

「感性を発揮してミックス&マッチにチャレンジするのもよいでしょう。小さ目のテーブルをいくつかまとめて置いたり、収納にもなるトランクを使ったりするのも効果的です」

ニューヨーク市のアメリカン・コッパー・ビルディングスにあるスカイブリッジの物件。K&COの創設者、クリスター・ニニヴァッギ氏がデザインしたラウンジスタイルのリビングルームでは、2つ並んだ木製と金属製のテーブルが部屋の主役になっている。 PHOTO: COURTESY JDS DEVELOPMENT GROUP