Designer's Corner

真っ白なリビングルームのコーディネート術

飾り気のない空間をくつろいだ雰囲気に仕上げるヒント

by Jennifer Tzeses 2019122

ティム・ゴッドボールド氏が、トライベッカ地区にある「ワン・ハンドレッド・バークレー」のためにデザインしたロフト調のリビングスペースでは、大胆なアートワークと散りばめられたニュートラルな色調が部屋のインテリアを生き生きとしたものにしている。PHOTO: COLIN MILLER

「Mansion Global」では定期的に、世界各国で高級不動産物件を手掛けるトップデザイナーを招いて1つのトピックを深掘りしていく。今週は、白一色の空間でありながらくつろぎを感じさせるインテリアのコーディネート術を紹介する。

白一色のリビングルームには、どことなくクールで清々しい雰囲気がある一方で、一切飾り気のないままにしてしまうと、よそよそしくて味気のない空間になってしまう。イタリアのローマに拠点を置く建築家・デザイナーのアキッレ・サルヴァーニ氏も次のように述べる。

「リビングルームを白一色で上手にまとめることは簡単ではありません。リビングルームに欠かせない個性や居心地の良さは維持しなければなりませんが、色を全く使わないと無機質な部屋に陥りがちです」

白一色のリビングルームでは、白とクリーム色の異なるパレットを組み合わせるのがベスト。「また、同じトーンの色のインテリアの中で遊び心やコントラストを生み出す素材をミックスすることも大切です」とサルヴァーニ氏。

白基調のインテリアを上手にまとめるには、デザインのプロのアドバイスに耳を傾けたい。

シンプルさを維持する

ロンドンにある「デザイン・ハウス・リバティ」のファウンディング・プリンシパル、ダラ・ホワン氏は、シンプルさを維持することの重要性を説く。

「床から天井までの高さがある鏡を使うとモダンな印象を与えることができます。どこまでも部屋が続いているような広々とした印象を演出するには、巾木(はばき)やコーニス(帯状の装飾)の無いものを探しましょう。ベベルエッジの鏡なら、トラディショナルでラグジュアリーな感じになります。アートを飾るとしたら、白に白を重ねた、優れた作品がよく合います」

「全てにおいてナチュラルな雰囲気を大切にし、他の色味を混ぜないようにしてください。より柔らかい雰囲気を出したい時は、ビスコース素材で古びた感じのアンティークラグや、コイアやサイザル麻などの天然素材を使ったラグを採り入れてみましょう」

「インテリア小物はシンプルにして、カシミアのスロー、再利用したつぼや天然素材のバスケットに沢山の植物を飾ってみてください。差し色を入れる場合は、ダークなマスタード色、ティール(青緑)やピンクを試してみてはいかがでしょう」

ダラ・ホアン氏がデザインしたリビングルームでは、グレーとブラックの色調と金属素材のミックスが重層的なスタイルを作り出している。PHOTO: SIMON BROWN

ニュートラルな色を使う

米ニューヨーク市にある「ティモシー・ゴッドボールド・インテリア・デザイン・アンド・スペシャル・プロジェクツ」のティモシー・ゴッドボールド氏は、ニュートラルな色調の採用がカギだと言う。

「ニュートラルな色調を使えば、一層深い印象を与えることができます。温かみを前に出し、無機質な印象を弱めるのに役立ちます。レザーや陶器はニュートラルな色調の良さを感じさせます。自然石やレザーなど、素朴な印象のアイテムであれば何でも使えます。陶器、木材、自然石、壁のテクスチャー、毛皮や素材感があるラグを取り入れることによってこの効果を出すことができるのです」

「抽象的なグラフィックのパターンもとても良いと思います。ニュートラル・カラーのパターンや、グラフィックなモノトーンなどは、時代に関わらず通じる魅力があります。ヘリンボーン模様のフローリング、厚手で素材感あふれるハンドメイドのラグ、手描きの雰囲気があるテクスチャーのついた壁紙が私のお気に入りです」

細部にこだわる

イタリア・ローマを拠点とする建築家・デザイナーのアキッレ・サルヴァーニ氏は、ディテールにこそインテリアデザインの重要性が宿ると語る。

「キャンドルは効果的です。様々なサイズ、形、トーンのものを使うと良いでしょう。周囲の環境を損なうことなく雰囲気を演出し、また強調することができます。キャンドルをまとめて置いたり、暖炉を蝋燭で埋め尽くしたりしても良いでしょう」

ノマド・モナコとギャレリア・オーのために、アキッレ・サルヴァーニ氏がカンパーナ・ブラザーズと共同でデザインしたラグジュアリーなリビングルームのインスタレーション。ニュートラル・カラーのフローリング、黒の家具と小物が深みのある印象を与えている。PHOTO: GIULIA PIERMARTIRI COURTESY OF GALERIA O

「さらにはアームチェアに張ったり、ソファーにスローとして使ったり、床にラグとして置くこともできるシープスキンも使いやすい素材です。ただし過剰な装飾には注意しましょう。モノクロ写真も白一色の部屋に鮮烈な印象な与えることができます。ルーチョ・フォンタナの『コンチェット・スパツィアーレ(空間概念)』を壁に飾るのも、またボナルーミの作品で光と影の遊びを演出するのも良いと思います」

「小さい部屋ならば、そのスペースを広く見せ、また空間全体に光を反射させるために鏡をよく活用します。大きな一つの鏡像に向かい合わなくてもよいように、鏡を複数用いることで視界を細分化し、部屋全体によりグラフィックな印象を作り出すことができます」

「またアート作品を中心にインテリアを仕上げるのも素敵だと思います」

「色を使って空間の区切りを示すことができない場合には、それぞれの家具が醸す形状のラインが美しくシンプルであることが大切です」

トーンで冒険する

米ニューヨーク市にある「エリカ・ミラー・デザイン」のエリカ・ミラー氏は、白のインテリアに木製家具を合わせることを提案する。

「私はグレーやベージュなどのソフトな色合いを使うのが好きです。さらにアンティークでもコンテンポラリーなデザインのものでもどちらでも良いので、木製家具を合わせるようにしています。白は木材のトーンによく馴染むし、部屋の雰囲気を和らげ、トラディショナルとコンテンポラリーのどちらのスタイルにも合うからです」

「色彩のある小物を使っても素敵な部屋になるでしょう。また、植物や花など自然のアイテムは、ナチュラルなインテリアを美しく仕上げる最良の手段です。真っ白な部屋とはっきりとしたコントラストを描くシルエットを持った家具を使うのも好きです。アートについては、とてもパワフルなものも、柔らかで優美なものまで、部屋の雰囲気に合わせてどちらでも飾ることができます」

「白一色の部屋では、どんなタイプのラグを選ぶかで遊び心を加えることができます。織りもの、シルキー、オーガニックなど、面白いテクスチャーを使うことで、部屋の感じを一変することができます」