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最高級ホテルが続々と参入を決める、 世界屈指のパウダースノーが魅力のニセコリゾート

最高級ホテル・コンドミニアムが続々と参入する、北海道・ニセコが誇る魅力を総力取材。

by Rie Noguchi 2020228

アマンブランドとしては、日本で4施設目となる「アマンニセコ」は、2023年の開業予定。アマンとして国内初のスパ&ウェルネスリゾート施設となり、敷地内に30室のゲストルーム、31棟の独立型レジデンス、日本食・ウェルネスレストラン、スパ、キッズ・アクティビティセンターを設ける。

極上のパウダースノー

標高約1308メートルの活火山、ニセコアンヌプリと、同1898メートルの成層火山でニセコの主峰と呼ばれる、羊蹄山(ようていざん)。北海道西部に位置するニセコには、シベリアからの冷気が多量の水分を含みながら季節風に乗ってやってくるため、毎シーズン、クオリティの高いパウダースノーに恵まれることで知られている。また山頂付近は、森林を形成できる限界を超えているため高木が生育できず、広大な新雪エリアが見渡す限り広がる。世界でも有数の雪質とそれを堪能できる立地条件を兼ね備えたリゾート、それがニセコなのだ。

世界に注目されるリゾートへ

古くからスキーと温泉を楽しむ町として日本人に親しまれていたニセコだが、ニセコ町の統計によると2000年代以降、この土地が誇る世界屈指の質を誇るパウダースノーの評判が口コミで広まり、世界中からスキーヤーやスノーボーダーが集まるようになった。特にオーストラリア人が中心となり、ニセコの再開発が急速に進んだ。オーストラリア人がニセコに注目したのにはいくつか理由がある。治安の良さはもちろんだが、オーストラリアと日本の時差は2時間と少なく、さらに南半球にあるため季節が日本と逆で、オーストラリアでは夏期にあたる時期に、スキーやスノーボードを楽しめるということも挙げられる、とニセコ町は解説する。彼らを発信源に、ニセコの雪質の素晴らしさが世界中のスキーヤーの間で話題となり、ニセコ町商工観光課の統計によると、いまではオーストラリアのほかにも、中国、韓国、香港、ベトナムなどのアジアをはじめとする世界各国から年間約21万人超の観光客が訪れている。

また行政のインバウンドに対する取り組みも早かった。スキー場エリアの道路、交通システム、ホテル、飲食店の多言語表記を促進し、町内飲食店の8割以上は、英語・中国語(繁体字・簡体字)が用意されている。高速通信のインフラを整えたことも大きい。積極的な誘客プロモーションや外国人観光客を受け入れるためのインフラを整備したことが功を奏した。海外からの観光客がストレスなく滞在することができ、ニセコ町の人口統計によると、この地を気に入った外国人の移住者も増加している。こうして、ニセコは高級ホテルや別荘、コンドミニアムが建ちならぶ世界的リゾートの一員となったのである。

最高級コンドミニアムの建設ラッシュ

ニセコ町には、広大なスケールを誇る「ニセコHANAZONOリゾート」「ニセコグラン・ヒラフ」「ニセコビレッジスキーリゾート」「ニセコアンヌプリ国際スキー場」「北海道ニセコモイワスキーリゾート」などが存在する。現在、これらスキー場に隣接するように、多くの世界的高級ホテル、別荘、コンドミニアムが建設されている。

なかでも最近の話題は「アマン」と「リッツ・カールトン」のニセコ進出だ。アマンは、日本で4施設目となるリゾートホテル「アマンニセコ」を2023年に開業予定。アマンとして国内初のスパ&ウェルネスリゾート施設となり、敷地内に30室のゲストルーム、31棟の独立型レジデンス、日本食・ウェルネスレストラン、スパ、キッズ・アクティビティセンターを設ける。建築は「アマン東京」「アマネム」そして2019年11月にオープンしたばかりの「アマン京都」を手がけたケリー・ヒル アーキテクツが設計し、木材や石を多く使用して自然の温もりと奥深さを感じられるデザインに仕上げるという。

「アマンニセコは、国定公園内の斜面に建設される予定で、自然が残る希少価値が非常に高いエリアです。建設予定地にあるニセコモイワスキーリゾートは、他の4つのスキーリゾートから切り離れているため、より質の高いパウダースノーを求める地元住民や欧米人などが多くエクスクルーシブな環境が特徴です。モイワスキーリゾートはアマンニセコの事業主であるChartered Groupが所有しており、リフトのアップグレードなどモイワリゾート全体の一体開発を予定しています。またスキーはもちろんですが、新鮮な空気・水・温泉、そして地元の食材を活かした大規模なウェルネスセンターも計画しており、季節を問わず長期滞在できるようになります」とアマンのセールスを手がけるハウジング・ジャパン株式会社のマネージング・ディレクターを務める佐藤努氏は「Mansion Global」に語った。

アマンブランドとしては、日本で4施設目となる「アマンニセコ」は、2023年の開業予定。アマンとして国内初のスパ&ウェルネスリゾート施設となり、敷地内に30室のゲストルーム、31棟の独立型レジデンス、日本食・ウェルネスレストラン、スパ、キッズ・アクティビティセンターを設ける。

そして2020年12月には「リッツ・カールトン・リザーブ・ニセコビレッジ」が東山エリアに予定されている。リッツ・カールトン・リザーブ・ニセコビレッジは、米国マリオット・インターナショナルが世界展開する「ザ・リッツ・カールトン」のリゾート向け高級業態「リザーブ」という名称がつき、マレーシアの複合企業YTY傘下のYTYホテルズが保有するスキーリゾート。
ニセコビレッジの敷地内に建設される。約50室の富裕層向け宿泊施設となる見込みだ。ニセコビレッジでは、ホテル以外にも大規模な開発を行う計画で、リッツ・カールトンブランドのコンドミニアムや一戸建て住宅、店舗や診療所の建設も計画されている。

さらに、ひらふエリアは現在、高級ホテルやコンドミニアムの建設ラッシュだ。2018年12月にはひらふ坂の中腹に「ザ・メープルズニセコ」がオープン。73の客室とパノラマのペントハウスで構成されている、地下1階地上7階建ての高級コンドミニアムだ。さらには「ワールド・スキー・アワード2019」における、50室未満のブティックホテル部門で、ひらふエリアにある高級ホテル「Ki Niseko」が世界一に輝いた。最上階のペントハウスには12人掛けテーブルやソファを配置した贅沢な広さが自慢のダイニング&リビングルーム、プライベートバルコニー、専用ジャグジーやアイランドキッチンなど、贅を尽くした設備が魅力だ。高級ホテル関連では、2020年1月に花園エリアにオープンした「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」も話題だ。

富裕層に特化したビジネス

これまでも日本を代表するスキーリゾートブームの中心地として知られてきたニセコだが、真の成長は「これから」と見る関係者は多い。例えば前述のひらふエリアを中心にコンドミニアムの建築額が増加し、ニセコ町によると前年比約5倍という数字を叩き出しているという。別荘地としての人気も高く、アンヌプリ・プロパティーズ株式会社の代表取締役社長を務める加藤将仁氏は、自然を求めて世界中からニーズがあるいま、ニセコは東京都心より高い価格でも売れるという抜群の販売力をもつと「Mansion Global」に語った。

なぜここまでニセコに高級リゾートが立ち並ぶのか。いくつか要因がある。例えば、北海道新幹線が、新函館北斗以北の新函館北斗~倶知安間141.5kmについての延伸を2025年度の開業を目指して動き始めている。この計画が実現すると、ニセコへの玄関口である倶知安から東京まで直通約5時間となり、利便性がぐんとアップする。

また2014年11月、当時の札幌市長が2026年の冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致を表明し、 現在は2030年の招致を目指している。冬季オリンピック・パラリンピック開催が実現すると、北海道・札幌では1972年の開催以来、2度目の開催となる。屈指のパウダースノーを誇るニセコで開催される競技も当然出てくるはずだ。冬季オリンピック・パラリンピック開催となれば、今後、交通・通信インフラはさらに整備されていくだろう。

世界トップクラスのスキーリゾート地となったニセコは、世界中のVIPが訪れるようになった。「しかしそれでもスイスのアルプスに位置するサンモリッツ、グシュタード、フランスのクールシュべル、米国コロラド州のアスペン、カナダ・ウィスラーなどの世界の高級スキーリゾート・別荘地と比較すると、ニセコはまだリーズナブルな価格帯といえます」と加藤氏。

その意味でも、海外の富裕層からの不動産需要はさらに高くなり、今後、更なる地価の高騰も予想されるという。いままさに進化の途上にあるニセコ。近い将来には、世界に誇るラグジュアリーリゾートになっているだろう。