Interview

「武士道」を現代的に解釈した作品で世界的な人気を誇る、米国出身アーティスト、デビット・スタンリー・ヒューエット

画家、そして陶芸家として活躍するアーティスト、デビット・スタンリー・ヒューエット氏。

2020629

画家、そして陶芸家として活躍するアーティスト、デビット・スタンリー・ヒューエット氏。アメリカ出身で日本を拠点とする彼の卓越した作品群は、国際的な一流企業や5つ星高級ホテルのコレクションにも収蔵されるほどで、その精力的で広範囲な芸術活動からときに“セレブ・アーティスト”と呼ばれることもある。そのヒューエット氏が今回、「マンション・グローバル ジャパン」の独占インタビューに応じ、芸術家として歩んできたキャリア、「武士道」から得る作品のインスピレーション、そして期待高まる今後の制作活動などについて語ってくれた。

世界各国のコレクションに収蔵

マンション・グローバル:
作品の創作のみならず、テレビ、ラジオ、そして多くの雑誌にも出演するなど活動は多岐に渡っていますが、まず最初に現在にいたるアーティストとしてのキャリアについて教えてください。

デビット・スタンリー・ヒューエット
デビット・スタンリー・ヒューエット:

初来日は1988年です。北海道大学で日本史を勉強するために日本を訪れました。その後、東京の三鷹市に住みながら陶芸や美術を学んだのです。初めての個展を開いたのが1993年の吉祥寺で、絵画作品を展示しました。この展覧会の開催期間中に、フランク・ロイド・ライトがデザインしたことでも知られる帝国ホテルでのアートプロジェクトに参画する依頼を受けました。ホテルのスイートルームを飾る108の絵画を制作するというものです。帝国ホテルがもつ高い名声を考えると本当に幸運な巡り合わせでした。芸術家としてのキャリアを歩み始めたばかりという時期に、自分の経歴に“箔”をつけてくれたプロジェクトであり、その後、より規模の大きい作品制作を手がけられるようになりました。

過去30年ほどは、著名な建築家やデザイナーとともに大規模な絵画を制作するコミッションワーク(受託制作)も手がけていて、ホテル・オークラ、ザ・ペニンシュラ・ホテル、オークウッド・プレミアをはじめ、世界各国のパブリックおよびプライベートコレクションに私の作品が収蔵されています。また日本では三越、高島屋、大丸、Bunkamura、GINZA SIXなどの高級百貨店・商業施設や、上野の東京都美術館などにも出品しています。

また日本、アメリカ、シンガポール、韓国、香港などで50以上の展覧会も開催しています。

GINZA SIX アールグロリュー ギャラリー オブ トーキョー
新宿 髙島屋美術画廊
絵画作品「BUSHIDO」シリーズを制作することになったきっかけは。

14歳で空手を始め、大学で日本の歴史を学び、アメリカ海兵隊にも所属しましたが、その間、日本の武道の歴史は私を常に魅了してきました。そんな私が武道を探究していく過程で巡り合ったのが「武士道」です。武士道とは武士階級の倫理、道徳規範や価値基準の根本を成すものです。なかでも「規律」と「忠誠心」が私の関心を引きました。

「BUSHIDO」シリーズの最も重要なテーマは、時間といいますか「瞬間」です。日本の侍は死を恐れずに、というよりも美しい死に様を望みつつ、一生涯奉仕するよう訓練を積みました。このシリーズは、この究極的な忠誠心が表出する瞬間、つまり侍の哲学が行動を通じて明らかにされる瞬間に焦点を当てています。勇気と献身について説教するのは簡単ですが、無私無欲と犠牲の美しさに敵うものはないと私は考えています。その意味で、私は勇気ある行動からインスピレーションを常に受けています。「BUSHIDO」シリーズは、この一瞬のために幾年にもわたって研ぎ澄まされていく、この無私無欲と犠牲の美しさに語りかけようとしているのです。

このシリーズの特徴の一つは、金沢金箔を使用して、武士の人生観に見出される優雅さと洗練さを表現している点です。私は、侍が茶道を嗜んだり、詩を詠んだり、絵を描いたりしていたという事実に魅了されました。彼らはまず第一に一流の戦士でしたが、私にとって、一人の侍に内在する「職人」と「戦士」という対局的な側面はとても興味深いものでした。「BUSHIDO」シリーズでは、規律を表現するために黒を、また戦いの情熱を表すために赤を使用しています。また最近の作品では茶や青を用いることもあります。

世界的なブランドと数々のコラボレーションもされています。

2008年に、高島屋から高級着物店の帯のデザインを依頼されました。「BUSHIDO」シリーズの絵をモチーフにしましたが、その年、高島屋で最も売れた帯になりました。その後、浴衣のデザインも手がけましたが、最初の年には売り切れるほどの人気でした。

このように私は長年にわたって、デザイナーとして多くの企業とコラボレーションも行っています。直近では、オーストリアのワイングラスメーカー「リーデル」のために、グラスとデカンタのデザインを手がけました。最初のロットはわずか1カ月で完売し、増産しています。またリーデルの銀座店で5つの新製品を2021年に発売する予定です。さらにイタリアの著名な衣料品ブランドのためのデザインも進めています。既存の著名ブランドとのコラボレーションを通して新たなデザインに挑戦できる機会というのは非常にエキサイティングなことです。

軽井沢にある自身のアトリエで、現在どんな制作に取り組んでいるのでしょう。

NHKが放映した私のドキュメンタリーを見て、ウェブサイト (www.hewett.jp/ja)からコンタクトしてきたNFL(米国のプロアメリカンフットボールリーグ)のチームオーナーのためのコミッションワークに取り組んでいます。私たちは制作すべき作品についてしばらく会話をし、最終的に彼のオフィス用に飾る2つの大きなキャンバス画を制作することになりました。このオーナーは日本版画のコレクターであり、日本の伝統的なテーマを現代的に解釈した「BUSHIDO」シリーズに惹かれたといいます。作品づくりに1カ月ほど費やした後、米国に郵送する予定です。

軽井沢にあるアトリエの訪問や、委託制作の相談は可能ですか。

もちろんです。ウェブサイト(www.hewett.jp/ja)からお問い合わせください。私たちは常に新たなるプロジェクトの可能性を模索しています!